ガイドブック「失敗事例編」

実際あった失敗事例から学ぼう

太陽光発電・蓄電システムは、正しく導入しメンテナンスを行えば価値ある設備ですが、少なからず失敗・後悔をしている人もいるのも事実です。

太陽光発電・蓄電システムは、何度も導入できるものではありません。ほとんどの人が初めての導入になります。クルマのように試乗したり、洋服のように試着したりすることはできません。だからこそ実際あった失敗から学び・・導入検討していただければと思います。

国民生活センターには、太陽光発電・蓄電池の相談が毎年2000件以上寄せられているそうです。以下は国民生活センターに寄せられた相談事例です。

  • 売電で約2万円のローンが払えると言われ契約したが、多い月でも1万円程度しか売電がないので解約したい。
  • モデルで特別価格と言われ契約したが高かったので解約したい。
  • 3か月前に契約したがパネル容量が見積りと異なり、メーカーも変更すると言われたので解約したい。
  • 太陽光発電を取り付けたが、工事がずさんで雨漏りした。
  • 販売業者と連絡がつかない。

国民生活センターに寄せられた相談では、販売方法・契約に関するものが多くなっています。

なかでも、訪問販売での契約の相談が大半を占めています。訪問販売がすべて悪いわけではありませんが、残念なことに悪質な手法を使う販売業者が少なからずいる事が相談件数からみると明らかです。悪質業者の場合は売上最優先で、「売り手側の論理でオーバートーク」になっているようです。会社でトークをマニュアル化して指導をしている販売会社もあると聞きます。価格が高いから悪いわけではありませんが、言葉巧みにいかにもお得かのように思わせ即決を迫ることは問題です。

しかし、これらの失敗を回避することは比較的簡単です。うまい話にのらないことです。また、契約を執拗に迫っられたり、即決を求められた場合に応じないことです。

このようなトークを使う業者さんには一発退場してもらいましょう。

このような業者は淘汰され少なくなったと聞きますが、太陽光発電業界発展の為にも絶滅してほしいものです。

工事での雨漏りの相談がありましたが、笑えませんよね。どのような工事をしたら雨漏りするのか不思議です。今では雨漏りする様な工事は少ないと思いますが、工事に関する失敗事例はよく聞きます。

  • 配管がぐねぐねでヘビの様で愕然としたので、やり直すようお願いしたら「こんなもんだ。」と言われた。
  • 設置場所を確認されず勝手にパワーコンディショナーを設置された。
  • 工事が終わってみると・・提案されたレイアウト図面と違っていた。
  • 勝手に隣の敷地に梯子をかけてトラブルになった。

お客様は知らないかもしれませんが、プロの目から見ると問題がある施工事例もあります。

  • パネルが屋根からはみ出している。(メーカーの保証対象外となります。)
  • 屋根とパネルのすき間が異常にある。(間違った架台を使用している。)
  • 安価な配管部材を使用しているので、配管が割れている。

太陽光発電・蓄電システムを永く安心してお使いいただくには工事品質・アフターメンテナンスは大変重要ですので後で詳しくご説明します。

業者と連絡がつかないのは、倒産と思われます。

帝国データバンクの調べでは、太陽光発電関連の倒産は2020年度で84件です。2019年度は減少しましたが再び増加傾向となっています。販売業者が倒産すれば、工事補償もなくなりアフターメンテナンスも受けれないので、お客様にとって問題は深刻です。

最近、世間で問題になった倒産例をみても・・

  • 相場とかけ離れた”激安価格”のアパート建設会社が…階段が崩落し死者が出たことが問題となり倒産
  • 檜4寸柱を使った”激安住宅”を謳った住宅建設会社が…お金だけもらい、建物が完成しないまま倒産

企業は、利益あってこそ存続できることは言うまでもありません。また工事を伴う建設関係は、薄利多売商法にはむきません。工事品質をおとす可能性が高いからです。

”激安価格”響きはいいですが、危険もはらんでいます。太陽光発電関連の倒産をみても、価格競争に巻き込まれた財務の破綻がほとんどです。

太陽光発電・蓄電システムの導入も安い方がいいに決まっていますが・・・

あまりにも、相場とかけ離れた激安価格は避けたほうが無難といえます。

当社に実際に寄せられた相談事例、商談時の中で失敗するであろう実例を紹介します。

商談時に他社との競合はいつものことです。各社レイアウト図面を作成し、発電シミュレーションをもとに経済メリットをご提供します。たまにレイアウト図面なしで説明のみという業者さんもいますが、悪質業者に分類されるので論外です。

レイアウト図面・発電シミュレーションの地域・方位・勾配が正しく記載されていないことがあります。

正確には、南東向きのはずが真南で設計されていたりします。ネット激安業者など、経費削減のため現地調査なしの建物図面のみで設計しているためこうしたことが起こるわけです。現地調査をしないかぎり、正確な方位・屋根材・影の影響等もわかりません。正確な発電を知りたければ現地調査は必須です。

悪質業者の中には・・・[故意に東向きを南向きに]・[地域を発電量の多い地域に]にして発電量の水増しをしているところもあるようです。こうなると発電シミュレーション自体が非現実的(ウソ・現地調査なし)でスタート時点で失敗となります。

さらに、各ご家庭の電気使用量・使用状況を正確に把握する必要があります。

同じ発電量の太陽光発電システムでも、ご家庭の電気使用量に応じて売電量は変わります。500kw/hの発電量でも自宅で100kW/hを自家消費すれば売電は400kW/hです。300kW/h自家消費すれば売電は200kW/hと自家消費量によって売電量も変わるわけです。

その自家消費量をまったく考慮せず、一律の自家消費割合で算出された経済シミュレーションで提案しているところもあります。Aさん、Bさん、Cさんそれぞれ自家消費量が違うのに売電量は、同じ。おかしくないですか?

固定買取制度(FIT)のはじまった頃は、売電単価が高かったために売電○万円と強調されていました。自家消費量を考慮せず説明した悪質業者とお客様の間でのトラブルもよく耳にしました。

今では、売電単価(2022年17円/kWh)より使う電気(平均27円+3.45円再エネ賦課金=30.45円/kWh)のほうが高いので自家消費量を多くした方が経済メリットが高くなります。

競合した時に、他社のほうが経済メリットが高かったのでシミュレーションを見せてもらうと…ご家庭での自家消費量70%で算出されていました???ヒアリングさせていただいた結果、自家消費量20%程度でした。故意なのか?無知なのか?は、わかりませんが間違った提案です。

結果、経済シミュレーションと違うという失敗となります。経済シミュレーションは電気使用量、使用割合から自家消費量を考慮し算出するべきです。

あとは、支払い関することでちょと怖い話しがありましたので紹介します。他社では経済メリットで手出しなしでローンを払えると提案されていました。当社のシミュレーションでは2000円の手出しになっていました。あれれ・・・ということでシミュレーションを見せてもらうと15年(180回)払いになっていました。

固定買取制度(FIT)の期間は10年です。この固定買取制度の期間はお客様には一切説明されていませんでした。10年後からは、買取単価は下がります。(2020年中国電力の場合7.15円/kWh)そのことから太陽光発電単体の場合は10年払いの提案が親切だと思います。15年払いが悪いわけではありませんが、10年後からの負担が増えることをきちんと説明すべきです。そのことは、一切説明がなく手出しがないことを強調されたそうです。悪質ですね。

支払いの内容も確認が必要です。

業者を見極める15のチェク項目

太陽光発電・蓄電システムは、大手家電量販店・ハウスメーカー・リフォーム会社・専門販売店・ガス会社、さまざまなところで販売されています。なぜか「お墓屋さん」にも太陽光発電取扱いののぼりが立っています(笑)どこで頼めばいいのか迷ってしまいますよね。

「太陽発電」に関するインターネット調査(10825件回答)で、太陽光発電導入に当たって不安点はないか?の問いに「初期投資を回収できるか?」「費用対効果かどうか?」が上位にきているそうです。

費用をかける以上当然といえば当然です。販売店の提案が本当なのか?自分でも判断できるよう15の質問(チェク項目)を設けました。

  1. 設計(発電計画)本当に正しく計画されているか?
  2. 提案内容 要望や条件にあったものになっているか?
  3. 工事品質 適正な工事・アフターメンテナンスは大丈夫か?

まず設計(発電計画)ですが、現地調査したうえで作成されたものかどうか?が重要です。建物図面のみでは正確な方位・屋根材(屋根状況)・影の影響等は把握できません。たまにですが屋根図面と実寸法が違う場合もあります。正確でない情報をもとにした設計では、スタート時点でつまずいてしまいます。また正確な方位は自分で把握しておくとよいと思います。スマホのアプリで簡単にはかれます。影の影響は実際にみてもらうしかありません。傷害物を設計図面に入力し、予想発電量を計算するシステムも登場しています。

現地調査は1丁目1番地ですので、現地調査を実施したうえで作成された発電シミュレーションであることを確認のうえ、下記項目にチェクを入れてください。

□ 屋根図面に記載されている屋根材は間違いないか?

屋根材により取り付け部材も違い、見積り金額も変わってくるため確認が必要です。

□ 発電シミュレーションは、地域・方位・勾配が正しく記載されているか?

さらに、メーカー・製品品番も確認してください。

□ 建物・電柱などの影響について説明されたか?

影になる場合、系統によって影響を最小限にできるレイアウトにされているか?担当者に確認してください。

正確な発電シミュレーションがでれば、次に具体的にどれだけ経済メリットがあるのかを知ることが大切です。

経済メリットもおおよそ自分でも計算できますので、説明します。まずは、検針票で平均的な一か月の使用量(kWh)なのか?確認してみてください。検針票がない場合電力会社のWebから入り確認できます。

その中で、太陽光発電が発電する時間帯(平均で朝7時~夕方6時)にどれぐらい電気を使用するのか?ある程度算出してみてください。昼間、お留守であれば電気を使用するのは冷蔵庫ぐらいです(1時間あたり150W~300W)。ペットのためにエアコンをつけている、熱帯魚を飼っている、などの場合は別ですが、共働きで昼間ほとんどいない場合の使用量は月間80kWh~150kWhぐらいです。昼間在宅で、エアコンをつけてテレビを観たりパソコンを使うご家庭だと200kWhを超える場合もあります。冬場にエアコンとあわせてホットカーペットなどを使うと昼間だけでも300kW/hを超えるご家庭もあります。

使用量電力計算方法 消費電力kW×時間h=kWh

例;800Wのエアコンを5時間使うと 0.8kW×5h=4kWhとなります。それぞれの電化製品の使用量を足せばおおよその使用量(自家消費量)が算出できます。

①太陽光発電の発電量 ○○kWh

②自家消費量 契約単価(kWh)×使用量=○○円

③蓄電池自家消費量 契約単価(kWh)×使用量=○○円

④ ①-②ー③=売電量 17円/kWh×売電量=○○円

経済メリットは②+③+④=○○円で算出できます。

太陽光発電の発電量は、季節・天候により変動します。当然、電気使用量も季節によって変動するため、経済メリットは一定ではありませんが、上記の内容で算出できます。

悪質業者の場合は、「売電で・・、経済的メリット・・で設備のローンが払えます」が常套トークになっていますので注意が必要です。

下記の項目でチェクし、確認してください。

□ 経済シミュレーションは、電気使用量・自家消費量を反映されたものになっているか?

あらかじめ、ご家庭での使用量・自家消費を把握しておくことが大切です。

□ メリット・デメリットを説明されたか?

屋根面積・電気使用量によってご家庭の電気使用量を賄えない等、メリットが充分ではない場合もあります。

□ 価格は妥当か?

価格設定は各社さまざまです。価格=価値ですので、高いから悪い、安いから良いわけではありませんが、基準として「適正価格」としてはあります。過度に高額であれば市場から見放されてしまいます。し、反対に激安でも内容が伴わなければ同じことがいえます。経済産業省が太陽光発電システムの2021年相場価格を算出し発表していますので参考にしてください。

5.0kWのシステムで、137.5万円/kWあたり27.5万円と発表しています。

メーカー、屋根材、設置容量により異なりますのが参考価格として目安にするといいと思います。太陽光発電システム機器の価格は毎年下降していましたが、2021年以降は様々な要因から価格は上昇しています。半導体不足から一時パワーコンディショナーが入荷されない事態も起きました。2022年度現在も価格上昇傾向といえます。

さらに確認が必要なのが、

□ 経済産業省・電力会社の申請内容をきちんと説明されたか?

中国電力へ系統連係の書類を提出して許可がでたら、経済産業省に申し込みをし認定されれば工事可能となります。

□ 有償・無償の保証内容をきちんと説明されたか?

メーカーにより、保証内容、期間(有償・無償)が異なります。ます。自然災害補償、工事責任補償についても確認が必要です。

□ 契約をしつこく迫ったり、急がせたりしてないか?

納得して導入することが大切です。疑問点をしっかり説明してくれる業者を選びましょう。

□ クーリングオフの説明はされたか?

訪問での契約では、契約日から8日間は無条件解約できます。クーリングオフの説明は、法律で義務付けられています。説明しないことは法律違反ですので論外です。

次は工事内容ですが費用対効果で、費用は価格ですが、効果は設備が何年使えるか?ですので工事品質・アフターメンテナンスは重要です。

□ 電気工事業の県知事許可・メーカー認定「施工ID」を取得しているか?

メーカーにより、施工方法が異なるので各メーカーの「施工ID」が必要です。

□ 具体的な施工方法をきちんと説明されたか?

メーカー・屋根材により施工方法も異なります。施工方法を細かく説明できる業者が安心です。

□ 機器の設置場所・配管経路等説明されたか?

工事後には変更できないので、確認が必要です。

□ 工事保険に加入しているか?

工事下請け業者ではなく、契約会社が加入しているかの確認が必要です。

□ アフターメンテナンス・定期点検の説明はされたか?

口約束ではなく、書面で確認しましょう。

上記15項目で確認してみてください。1つでもチェクが入らない場合は、その業者さんでの導入は避けたほうがいいかもしれません。施工に関しては実際の施工済み施工現場を見せてもらうのが確実です。

太陽光発電蓄電システムは正しく導入すれば、環境にも家計にもやさしい機器ですので参考にしてご検討いただければ幸いです。